産後のイライラは生物に組み込まれた仕組み。意志の力では解消できません

産後クライシス

産後の母親の攻撃性は2倍。多くの生物種で見られ、回避不能

アメリカの大学の研究で母乳で子育てをしている母親は、通常よりも攻撃性が2倍になるというデータがあります(Hahn-Holbrook et al., 2011).

もし母乳で育児をしているならば、イライラする原因は生理的なものかもしれません。産後の攻撃性の増加は、人間だけでなくマカクサル・ラット・ライオン・猫・ウサギなど多くの生物で見られ、生物に生理的に組み込まれたものであることが考えられます。

血圧が上がらない、不思議な産後の怒り

通常、怒りを感じると血圧の増加が見られるのですが、産後の怒りは血圧の増加が起こらず、攻撃性だけが上がるというデータがあります(Hahn-Holbrook et al., 2011)。母体に負担をかけないような、特別な怒りが、この時期には起こっているのです。

産後の怒りの2つの利点

母親の攻撃性の増加が多くの生物に見られるのは、母親にとって2つの利点があるからと考えられます(Hahn-Holbrook et al., 2011)。

一つ目は産後の母親が、赤ちゃんを抱えて生活するという、困難な仕事に対する恐怖を薄めることです。特に、第一子の子育ては初めてのことだらけです。それに加えて、野生の動物は赤ちゃんを抱えていたら、捕食される可能性も跳ね上がり、食料の調達も難しくなります。子育ては危険で恐ろしく、動けなくなってしまうのが普通かもしれません。その恐怖に打ち勝ち、赤ちゃんを育てるために、怒りは有効であると考えられます。

もう一つは、怒りによる自己主張の力で、自分の地位を向上させ、たくさん食料が調達できるなわばりを確保したり、子どもの脅威になる敵を追い払ったり、子育てに有利な環境を手に入れるためであることが考えられます。

生き延びるための大切な仕組み

産後のイライラはいわば、生き延びるための大切な仕組みなのです。数百万年のレベルで続いてきた心の仕組みは、社会の変化によって不要に見えるようになったからと、急に消し去ることはできません。

この生物としての怒りを、母親の意志の力だけでしずめることは基本的に不可能であると考えてください。

 

※イライラの対処法はこちらをご覧ください

子育てでイライラしない方法は?感情のコントロールの誤解

 

引用

Hahn-Holbrook, J., Holt-Lunstad, J., Holbrook, C., Coyne, S.M., & Lawson, T. (2011). Maternal defense: Breastfeeding heightens aggression by reducing stress. Psychological Science, 22, 1288-1295.

 

ママの気持ちを分かりたい夫。自分だけがイライラしているのではと不安な

妻。どちらにも読んでいただきたい本を書きました。

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第1話 子どもができて、夫にイライラする妻・別人になった妻にとまどう夫へ


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