ライフネット生命創業者 出口治明さんに子育てに親と企業ができることを聞いてみました 3

企業と子育て

子育てフィロソフィの山本です。ライフネット生命創業者の出口治明さんに子育てについて聞くインタビュー第3回目をお送りします。

※第1・2話はこちらからご覧ください。

ライフネット生命創業者 出口治明さんに子育てに親と企業ができることを聞いてみました 1

ライフネット生命創業者 出口治明さんに子育てに親と企業ができることを聞いてみました 2

 

子育て中の親へのメッセージ

山本)
最後に、子育て中の親へメッセージをお願いします

出口)
では、3つのメッセージをお送りします。

1. 子どもを他の子どもと比べない。
人間はみんな違うのです。標準や平均に意味はありません。大器晩成も早熟もどちらもあるのです。ハイハイやしゃべることなどで発育が遅いようなら、きっと大器晩成なタイプの子どもなんでしょう。ゆったりとした気持ちで子育てしましょう。親が焦ると、ろくなことはありません。

2. 親がよく食べて、よく寝て元気でいること。
親が元気で明るく、楽しく過ごしていること。笑顔でいることが一番です(注2)。

3. 働くお母さんは、専業主婦にならなかったことに罪悪感を持つ必要は一切ありません。
ホモ・サピエンス20万年の歴史を見ると、子どもは共同養育が基本。京都大学の総長をされている、霊長類研究の第一人者、山極壽一教授は、人間は共同養育をするように進化してきた種であることを主張されています(注4)。人間は共同で養育することが一番いい。お母さんと子どもがマンションの一室でずっと二人きりでいるより、保育園に預けるのがヒトという種にとってはむしろ普通なのです。

「3歳児神話」の類は、戦後の日本の人口増・高度成長・工場モデルのもたらしたものです。工場モデルは長時間労働が向いている。男性が朝8時~夜10時まで働くならば、女性が家庭のことをすべて行うという性分業を行う方が都合がよかったのです。そのために日本はアメとムチの制度を作りました。配偶者控除、3号被保険というアメ。この2つの制度で専業主婦を奨励していったのです(※注5)。それにプラスして、3歳児神話という「3歳までは母親が子育てをするべき」というムチ(※注6)がありました。でも、人間の子育ては本来、チームで行うものなのです。

そして、育児は仕事にもプラスになるという確固としたデータがあり、次の本(浜屋&中原,2017)にまとめてあります。キャリアアップになるので、堂々と休めばいいのです。

子育て中の親は、この2冊の本を読んでください。きっと元気になりますよ。

—-

今回のインタビューで、

ライフネット生命創業者 出口治明さんに子育てに親と企業ができることを聞いてみました 1

ライフネット生命創業者 出口治明さんに子育てに親と企業ができることを聞いてみました 2

 

子育てはチームで行い、親が楽しく笑って過ごすことが何よりも大事なこと。そのために、企業や父親にもっと子育てに取り組むべきことがあることを教えていただきました。

出口さんのお話は、母親がラクになれる救いの言葉にあふれています。これが、古希を迎えた経営者という属性の方から出た言葉とは正直信じられないほどです。

子育てを重視するということは「経済や政治を知らない母親の意見」として取るに足らないことではなくて、経営者としても理にかなったことだと背中を押してもらった思いです。

これからは「母親がもっと頑張ること」ではなく、「社会や企業が本気で取り組む」ことで子育てはいい方向に変わって行くでしょう。

私たち母親も、その変化を後押しできるように、自分一人で頑張るのではなく、困ったことを困ったと周りにきちんと声を上げることが必要なのかもしれません。

【引用】
浜屋祐子・中原淳(2017)育児は仕事の役に立つ 「ワンオペ育児」から「チーム育児」へ
池谷裕二(2017)パパは脳研究者 子どもを育てる脳科学

山本による注

※注2) ライフネット生命創業者 出口治明さんに子育てに親と企業ができることを聞いてみました 2 から再掲。

出口さんは歴史の本もたくさん出されていますが、個人的には「座右の書『貞観政要』 中国古典に学ぶ 世界最高のリーダー論」がおススメです。歴史というよりリーダー論ですが、唐の名君の言行録をその歴史的背景から、分かりやすく出口さんが目の前でしゃべってくれているように解説してくれています。
最初にリーダーのもっとも重要なことは「元気で、明るく、楽しく」ふるまうことだということをまとめています。「何だ、リーダー論っていっても、家庭の母親のあり方の理想と一緒じゃん」と、親近感がわいてきます。家庭をチームと考えると、そのリーダーとしての親のあるべき姿として、もっと何かを知りたい人への出口さんからのもう一つの答えになるのかなと個人的に思っています。
出口治明(2017)座右の書『貞観政要』 中国古典に学ぶ 世界最高のリーダー論」.KADOKAWA.

※注4 毎日新聞連載「時代の風」2012年09月02日掲載「家族とコミュニティー・山極寿一」http://www.wildlife-science.org/ja/DrYamagiwa/2012-09.html

※注5 出口さんと病児・障害児保育NPO法人フローレンス代表理事駒崎弘樹さんとの共著で「世界一子どもを育てやすい国にしよう」という本が出ています。少子化の社会問題について、詳しく解説しています。少子化問題を解消したフランスの話などは、「子育てってやっぱり、母親の努力っていうより、国家レベルの問題やん」と、目からうろこが落ちる感じです。
出口治明・駒崎弘樹 (2016)  世界一子どもを育てやすい国にしよう.株式会社ウエッジ.

※注6 母親が育てても、保育園や母親以外の養育者が育てても、言語・情緒・社交性・身体発達などに差がなかったことが、アメリカ国立小児保健・人間発達研究所の1000人強を対象にした長期追跡調査から明らかになっています。そして、子どもを見ているのが、母親・父親・祖父母・保育士、誰であっても「子どもの変化をとらえた対応ができる(sensitivity)」かどうかで成長した時点の知能などに差が出ることが明らかになりました (NICHD Early Child Care Research Network, 2001)。
無理して余裕のなくなった母親が子どもを見るよりも、保育士や家族などがチームとして、親の疲弊を防ぎながら、誰かが子どもをしっかり見てあげる環境がある方が発達はよくなることが考えられます。
つまり「3歳まで母親が子育てをするべき」という「3歳児神話」はウソなのです。上司と二人きりでマンションの一室で24時間仕事をしたら息がつまるでしょう。それと同じことです。
NICHD Early Child Care Research Network. (2001) Nonmaternal care and family factors in early development: An overview of the NICHD Study of Early Child Care. Journal of Applied Developmental Psychology. 22, (5), 457-492.

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